「稽古中に起こったことに」春日野部屋で起きた傷害事件に被害者父怒り

  • 過去の傷害事件が発覚した春日野部屋について週刊新潮が報じた
  • 親方に「稽古中に起こったことにして下さい」と言われたと被害者の父親
  • 病院の診察を受けると、「勝手なことをしやがって」と言い放ったそう

相撲協会“春日野理事長”誕生の可能性 隠されていた傷害事件、被害者父の怒り

白鵬、稀勢の里の両横綱が休場し、平幕の栃ノ心の優勝に終わった初場所。師匠の春日野親方は快挙の瞬間、号泣し、スポーツ紙には「鬼の目にも涙」などと書かれた。春日野親方については以前、栃ノ心ら弟子3人の腹や背中をゴルフのアイアンで殴ったと報じられ、厳重注意処分を受けたことがあるから、まさしく「鬼」には違いない。

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そんな親方が主を務める部屋での過去の傷害事件が発覚したのは1月24日のことだった。春日野部屋に所属していた元力士(23)が弟弟子だった矢作嵐さん(22)の顔を殴って傷害罪で起訴され、懲役3年、執行猶予4年の有罪判決が16年6月に確定していたにもかかわらず、部屋及び協会はそれを公表していなかったのだ。その理由について春日野親方は「(加害者は)辞めた力士だから」と答えていたが、いかにも苦しい言い訳である。

事件があったのは14年9月。春日野親方は事件について当時、相撲協会に「報告した」と主張しているのだが、

「真っ赤な嘘ですよ。春日野が協会に報告したのではなく、協会側が先に事件について把握し、春日野に問い質したのです」

と、事情を知る相撲協会関係者は明かす。

「協会の危機管理顧問が山響親方から聞いて事件を知り、春日野に連絡したところ、“警察が暴行現場の検証を行うと言ってきています”などと話す。で、顧問が“きちんと経緯を報告して下さい”と依頼したのですが、春日野はそれを無視。しばらく後、顧問が“どうなっていますか?”と聞いたところ、“事件を起こしたのは部屋を辞めたヤツだから”と言うばかりで、結局、事件の詳細について報告しなかったのです」

矢作さんの父が明かす

春日野親方は事件を“なかったこと”にしたかったのだろう。被害者の矢作さんの父親によると、信じ難いことを持ち掛けられたという。

「息子が東京医科歯科大学病院で手術をする日、春日野は奥さんと一緒に手土産も持たずに病院にやってきて、“(事件は)稽古中に起こったことにして下さい”と言ってきたのです。実際は稽古中にやられたわけではないのにそんなことを言ってくるので、“こいつら、いかんな”と思ったよ」

春日野親方と戦う決心をしたきっかけは、息子からのメールだったという。

「“親父、悪いけど、これ以上、相撲を続けられない”。そんな内容だった。で、相撲を辞めるなら徹底的に戦うぞ、ということで相手を刑事告訴した」

結果、加害者の元力士が傷害罪で起訴されたのは前述した通り。一方、保護責任者遺棄容疑で刑事告訴された春日野親方は不起訴処分に。矢作さん側は民事でも加害者の元力士と春日野親方を訴えており、こちらの訴訟は今も続いている。

「春日野だって、自分の子どもがボコボコにされたとしたら、俺と同じことをするでしょう。出るところに出て、子どもを守るはずです。息子は今、“事件については、いろんなことを隠されてばかりだった。今後は何も隠さず、謝罪してほしい”と言っている」

と、矢作さんの父親は続けて語るのだ。

「兄弟子から暴行され、部屋から逃げ出して帰ってきた息子の頬は紫色にパンパンに腫れ上がっていて、骨折しているのは明らかだった。その後、春日野から電話がかかってきて、“少しの間預かってもらえますか? その後、部屋に戻して下さい”と言うので、俺は“病院に行かせてくれ”と頼んだ。それに対し、“こちらで行かせます”と言っていたのに、結局、国技館にある相撲診療所と、よく分からない整体院に行かせただけだった」

そして、矢作さんが自分の判断で東京医科歯科大学病院で診察を受けたところ、春日野親方は“勝手なことをしやがって”と言い放ったという。ここでも彼は「鬼」の一面を見せていたわけである。

協会の権力闘争

春日野親方は相撲協会の理事で広報部長でもある。その足元で過去の傷害事件が発覚したのが、理事候補選の立候補者の受け付けが行われる約1週間前というタイミングだったため、「立候補見送りの可能性」と書いたスポーツ紙もあった。しかし、出羽海一門は1月26日に一門会を開き、予定通りに春日野親方が理事候補選に立候補することを確認したのである。

理事選前、相撲評論家の中澤潔氏は次のように語っていた。

「春日野親方がこのタイミングで立候補すること自体、暴力問題について反省していない証左でしょう。そして、協会もまた、彼に立候補辞退を促すような動きはしなかった。これは要するに、春日野親方だけではなく、相撲界の大多数が今でも暴力を容認しているということです。また、現執行部が盤石であることの表れでもあります」

結果、春日野親方は当選し、そして貴乃花親方は落選。この後に注目されるのは、誰が理事長になるのか、という点である。ちなみに理事長は、10人の理事の中から立候補者以外の投票によって、3月の春場所後に選ばれる予定だ。

「前回の理事長選と同様に2人が立候補した場合、残る8人の理事による投票となり、過半数の5票を獲得したほうの勝利となります。八角理事長が立候補したら、協会ナンバー2の尾車親方は支持に回るはずです。彼が属する二所ノ関一門は2人の理事を出しているので、2票が八角理事長に入る。そこに出羽海一門の3票が加われば、それだけで再選が決まります」(相撲ジャーナリスト)

ただし、八角理事長が立候補を断念した場合、展開は一気に読めなくなる。

「その場合、尾車親方は自分が理事長選に出るでしょうし、その対抗馬としては、春日野親方が立候補する可能性もある。部屋で暴力問題が発覚したばかりですが、春日野親方は非常に出世欲が強いので十分にあり得ます」(同)

貴乃花親方の有力タニマチが語る。

「度重なる不祥事について、親方は“想像を絶する”と言っていました。“こんなことばかり繰り返していたら、今後、公益財団法人の認定を取り消されるかもしれない。何とかしなくてはいけないと思っているんですが……”と話し、その後は沈黙していました」